会長と衝突しながら、機械を導入してきた社長も、畳作りの基本は手作りでの技術だと断言します。それを知っているかいないかで、機械の扱い方も違ってきます。
最近では、洋室用の薄い畳が人気がありますが、これを作れるのは、やはり昔ながらの技術をしっかりと身につけた職人さんです。
どんなにいい機械を入れても、畳のくせやちょっとした勘所をつかんでいないと、気持ちのよい安全な畳はできません。
大げさにいうと、機械の使い方さえわかればこの私でさえ簡単に作ることはできるそうです。しかし、仕上がり具合が歴然と違うそうです。
私の父もそうでしたが、昔ながらの職人は、機械やいまどきの道具を、あまり快く受け入れてはくれません。それを承知した上で、社長の保夫氏は機械などを導入し、この店の職人も受け入れています。それは常に手作業=機械にはない技術を皆が身につけているからです。
タッカーと呼ばれるステープラー(ホチキス)に似た道具があります。これも昔の職人は本来使いたくないものです。しかし社長は、使います。ただし、使い方は手作業での感覚に近づけるように、針の長さなどをミリ単位で調節します。
機械や便利な道具だけに頼り、コストを落とすことだけを優先するのではなく、合理的に作れて、そして安全に使える畳を第一に考えているのです。
「基本は手作り」の方針に沿って、昨年から次男の武さんが職業訓練校に通い始めています。学校と現場ではどちらが大変か尋ねると、現場のほうが楽だといいます。それは、学校では機械を使わない、手作業での畳作りをしているからです。
しかし、彼は学校で技術を習得することの大切さをよくわかっています。また、現場では、熟練の先輩職人たちからさまざまなことを吸収できることがありがたいといいます。
先輩からの評価を聞いてみました。彼はこの道1年の新米ですが、評価は上々。「研究心をもっているので、上達の度合いが違う」とは、佐藤さんの弁。父親でもあり社長でもある保夫さんは、「お兄ちゃんは、1級技能士の資格を持っているけれど、こいつは生まれ持った才能がある。」とのこと。
先ほどから私もその手さばきのよさに見とれていたのは、どうやら本物を見ていたからだったようです。小さい頃、魚屋さんの魚をおろす包丁さばきに目が釘付けになったことを思い出しました。
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普通の物差しを畳屋用に改良しています。
畳の大きさにあわせて、素早く測れるように添え木をつけています。
年季の入った代物です。
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